[ファンタジー] 魔王を倒そう、パーティーメンバーが執着する - 013_エレメントの国
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うわー、本当に一日かかった。
丸24時間かけてたどり着いた尿素族の国。オリーが言葉遣いは悪くても、発言した内容だけは正確だった。
"オリ様。おかえりなさい。
スピードを落として歩いていると、検問と言えるような妖素族の人物がやってきて、すぐにオリィを見て片膝をついた。
チリッ
"こっちの人間は?"
あらあら、印象まで書いてるね。
"勇者。"
「失礼しました。勇者様。
くっくっく
「あはは、いえ。大丈夫です。
私に向かって嫌な顔をむき出しにしながらも、いくら嫌いな人間でも勇者と言われるとすぐに謝る。公私を分別する態度が虚しくなって隠し笑い。なぜこんなことを思ったかというと、偉い上司が公約も守らない政治家に頭を下げる姿を思い浮かべたからだ。
せっかく俺は魔王も倒したし、エレファント族の神託で来た客なのに。
地球では下っ端だった俺が、この世界では凡人には見向きもされない身分に格上げされたのだから、ひょっとして俺が罵倒するような人間になることを恐れ、自分自身も気をつけていた。 そんな中、初めから反語で失礼だった相手が勇者という身分を確認し、尊敬してくれたので、慇懃無礼な態度を取ろうとした自分を自覚し、こんな自分に失望したキイチ。魔王まで倒したとはいえ、やはり私は勇者という鎧を着た一介の人間に過ぎなかった。
「初めまして、勇者様。
"いらっしゃいませ。"
「うん、ありがとう。
反省は後回しにして、とりあえずオリーの案内通りに入る。ようやくというか、初めて訪れるウソップ族の国に入り、ゆっくりと周囲の風景を眺める。
特に入り口は見当たらない。
いつものファンタジー小説のように森の奥深くに連れて行かれ、特に入り口もないので、出迎えの人の案内に従う。
ここまで来る途中、木々の上に見張り台と思われる空間があったので、そろそろ到着したんだなと予想はしていたのですが。
"私以外に外部の人が来たの?"
ちょうど会話する余裕ができたのか、一日中走っていたせいか、少し口が退屈だった。
"...うん。
"主にどんな?"
"人間。カントゥルコ。チュジャラ。
"ああ。"
地球語でドワーフとオーク。エレメンタル族が私が創作で接したエルフにとても似ていたように、カントゥルコ族もドワーフに似ていて、チュジャラ族はオークによく似ていた。
それでもドワーフとオークではなく、カントゥルコとチュジャラと呼ばれるのだから、そう呼ぶべきだろう。
"なぜ来たの?"
"同盟。協力、略奪。
"同盟は人間だろうし、カントゥルコ族が協力なら、何?"
"お互いに物を売り買いする。"
"確かに、そうだろうな。"
人間もエレメンタル族に必要なものをやり取りするだろうが、カントゥルコと呼ばれるドワーフが私が知っている設定のあのドワーフなら器用なので、そういう物々交換がよくあるのだろうと推測した。
実際に見たことは数えるほどだが。
異世界への旅行ではなく、魔王を退治するために来たのだから、気楽に遊覧するのは難しい。
そのため、3年以上滞在している間、実際に見たことよりも聞いた話ばかりだった。
もし地球への帰還ではなく、往復できるようになったら、必ず旅行に来ようと心に決めた。
アンとシンウを連れて来たら喜ぶだろうなあ。
夜明けに姿を消した醜い夫のいない、一人で子供を育てている妻のことを考えると、余計に憂鬱になる。私はただ、他の人と同じように能力者覚醒イベントが出たので、覚醒だけして帰ってくるとだけ言ってトクを残したのだが、これがまさか塔登りチュートリアルではなく異世界召喚だったとは思わなかった。
ニミラル。
結果的に魔王も捕まえたし、勇者の超越的な身体能力を丸ごと手に入れて地球に帰ればハンターの資格も取れるし、お金の心配もなく暮らせるようになったけど、魔王が消滅した今も変わらず異世界をさまよっていて、ちょっと焦るくらい。
みんな、私が帰還できるように手伝ってくれてるんだけどね。 まあ、残念そうな顔してるけど。
そもそも裏をかくつもりだったら、こんなのんびりしたオリーにはついていけなかった。
ましてや、実際に裏切られた小説の主人公たちが俺を見たら、腹いせに文句を言うだろう。
だから、俺はパーティーの皆が提案してくれた方法を元に、一歩一歩試行錯誤していくしかない。
我々が魔王を討伐するために、焦らずに一つ一つ冷静に対処したように。
"...常に戦争中だ。"
"え?"
"ちゅーじゃらとは。 そうだよ"
"ああ、そうだと思ってたよ。"
人間を無視してカントゥルコ族とはどうなのか聞いたのだが、チュチュラ族のことを聞かないので、オリーが勝手に答えたようだ。
ああー。昔だったら聞かれたことしか答えないのに、成長したね。
"...."
周囲を見渡しながら視線をオリィに移すと、そっと避ける目つき。無表情なので、何だか冷たい態度と誤解されがちだが、俺が見る限りは、かっこいいからあんな感じなんだろうなと思った。
オリちゃん、こっそり恥ずかしがり屋だから。
それが社会的に無愛想な人が受ける誤解なんだけど、私はそれを知っているから、こんなオリちゃんを見て、公演した温かさに微笑ましくなった。
**(笑)
尿素族の国の入国手続きは、噂に聞くほど難しくはなかった。
ウソップ族の神であるデラに仕える巫女オリが先頭に立って行くので、自由に通過。
さらにひざまずき歓迎までされるのだから、人間に露骨に嫌な視線を送っていた妖素族に、こんな扱いを受けてもいいのかと思った。
魔王を倒しに行く出陣式でも、団体で祝福してもらえばいいのに、個人個人の厳粛な挨拶は負担だ。
昨日まで魔王討伐の記念にパーティーだの行列式だの、そんなものから解放されそうなオリを追いかけてきたのに、なぜか扱いは同じようなものだった。
いや、もっとキツくなった?
いずれにせよ、勇者が何を言っているのか分からない状況。たまたま俺が勇者として召喚されたから優秀な仲間と出撃しただけで、俺じゃなくても、大陸の人物たちと一緒のパーティメンバーなら十分に魔王を討伐できたはずだ。
"ここがオリ君の国か?"
"うん。"
「なんていうか、とても美しいわね。壮観だよ。
"...ありがとう。
「いやまあ、率直な感想だけど。
「そうか....
ただひたすら走っていた時は余裕がなかったが、鬱蒼とした森から次第に風景が入り込む尿素族の国に入ると、光景と言っても過言ではない光景が広がっていた。
歩き始めてすぐの手入れの行き届いた道。手入れの行き届いた色とりどりの名もなき花畑。葉をつけるたびに巨大な木々が立ち並ぶ。快晴の空の下、水が流れる渓谷。
小さな気配を感じて確認すると、リスや鳥などの小動物の生活があちこちで見られた。
"何だか落ち着くね。"
異世界を歩き回りながらも、特に美しい場所なので思わず漏らした感想。
「...... 人間が魔王軍と対峙してくれたおかげだ。
「そういえば、そこには妖精族もいたんだろう?
「そうだ。人間だけでは魔王軍に勝てないからさ。
大陸に魔王が侵攻したとき、人間だけが相手だったわけではない。妖素族も人間と合流して助けたし、カントゥルコ族も物心両面で助けたという。
チュジャラ族、オークは元々ずっと厄介者だったし。
魔王という公共の敵が現れたにもかかわらず、相変わらず利己主義的で邪悪な奴らなので、一定レベルまではチュジャラ族を相手にしてステータスを上げた。
最初は命を殺すということにとても抵抗があったけど、結局こうなってしまった。
戦争で自分が生きるためには他人を殺さなければならない。
至極当たり前のことだが、それがまた実際に直面するとバカバカしくなりやすいテーマで。
論題に値する問題を初めて悩んだのは軍隊に入隊するときだったが、実際に経験したのはここに召集されてからだった。
それよりも、行方不明になったはずだから、予備軍に行かなかったからといって何も言われないだろう?
どうせ6年目まで無難に履修して、残りの7、8年は訓練がないのはわかっているけど、うっすらと覚えているのと、もしかしてと思うのはまた違った。
召喚されてから3年近く経つと、家族の消息以外にも気になることがあった。
"勇者?"
"うん?"
"大丈夫か?"
「え? 大丈夫だよ。
「そうか、よかったな。
せっかくおしゃべり好きなオリィと話している最中、思索に耽っていると、心配そうに聞いてくる。
オリが先に心配を? これも呪いの影響というにはポジティブだな。
必ずしも呪いが悪いことばかりではないんだなと、ふてぶてしく。
呪いのせいで感情を抑えきれなくなった3人には申し訳ないが、いつもより積極的に表現するオリィを見ていると、そう思わないわけにはいかない。
"心配してくれてありがとう"
「いや......いや、当たり前だ。
"そうなの?"
"...うん。"
まだ何を考えているのか推測する必要がありますが、少なくとも一段と良くなった表情の変化。無表情だった顔に、まるで咲こうとする美しい花芽のようにほのかに赤みを帯びながら、そっと首を下げたので、まさか今恥ずかしくてこんなことをしているのかと誤解を招くのに十分だった。
あんなにクールなオリィなのに、私が勘違いしているのだろう。
たとえ勘違いでなくとも、俺に何ができるんだろうという思考が支配し、意外な姿を鑑賞したという感動だけを胸に、オリを追いかける。
あらかじめ写真や動画を撮っておくんだけど、今からでもオンにしておこうか?
使うことが少なくていつもオフにしているスマートフォンを惜しみながら、目ででも最大限観賞する景色。次第に一般的なエレメント族も目につくようになり、変わらずオリーに向かって挨拶しても僕には不思議そうな視線しか送らない。
警備員の厳かな歓迎と対照的で気づきやすい違いで。
たまに外でウーロン族と出会っても、適度に敬意を払う態度なのでそうかと思っていたが、一般市民と同じように振る舞うので、これがまた面白い。
あらためて人の住むところはそうなんだなあと思いつつ、あ、こいつらウソだろうと思わず笑っちゃったけど。
"オリニ-イム!"
「いらっしゃいませ、オリィ様! 魔王を倒して来られたそうですが、本当ですか!?
対峙する者たちが警備員から一般エレメントの割合が増えると、気兼ねなく近づいてくる幼いエレメントたち。
オリィが神を祀る巫女ということで高貴な身分であることは知っているが、周囲の諌めもなく、子供たちが自由奔放な様子は、ここが本当に平和な場所であることを物語っている。
しかし、ここの階級制度はどうなってるんだろう、本当に巫女が女王より上なんだろうか、いくらなんでも神を仕える立場なのに。
オリーが妖精族の中で最強だからパーティーメンバーになったことは知っていても、妖精族の中でどのくらいの位置にいるのか正確にはわからないので、好奇心が湧いてきた。
"そうだ。"
"""わあああ!!""""
「やっぱりオリィさんだ
「私もオリさんのように強いエレメントになりたいです!」。
"僕も!"
"私も私も!"
いつの間にか賑やかな幼いエレメントに囲まれ、称賛されているオリィ。本来の性格を予想すると、適当に答えて無表情で去ってしまうのだが、無言で対応してくれるところを見ると、それほど冷淡ではない。
こんなオリィのいろんな姿を見るのはいいけど、これが呪いのせいなのか、私が知らなかった本来のオリィの姿なのかが分からず、違和感があるとは。
なんだか感情表現が以前より多彩になったのは良かったけど、それが呪いの影響だと考える思考自体が嫌で、早くしてあげたくなった。
「オリィ様。ここの人間の男は誰ですか?
やがて私の存在が気になったのか、たびたび顔を覗き込んでいた話題が私に移る。
"もしかして、オリさんが捕まえた旦那さんですか?"
「うわーーーー! オリ様が男を捕まえてきた!?
「このバカ野郎! 捕まえたんじゃなくて、誘拐したんだろう。ちゅーじゃららや人間も私達を誘拐することがあるじゃないですか。
「ヒヒッ、そうなの?
「あらあら。オリィ様が捕まえた男なら、強靭な男性でしょう?
えっ!?召喚されてからわざと誰にも教えてくれなかったのに、どうして知ってるんだ。 やっぱり幼い子の洞察力ってやつか?
「オリィさんが捕まえた男だから、すごい強いんだろうなぁ!?
「あ、違う...!いや、強いのは確かだけど、旦那じゃない...."
自分のことを話しているときは堂々としていたのに、若い子たちの関心が俺に向けられるとすぐに慌ててしまう。
ハギちゃん、私だって、家に職場の同僚を連れてきたのに、幼い弟たちに付き合ってるのかって聞かれたら困るでしょ、一人っ子だけど。
自分の口で「いいえ」と言おうと思ったが、困惑しているオリィを見るとからかいたくなり、そのままにしておいた。
"...今は。"
ハイ、今はどうでもいい。
些細なことをつぶやくと、オリィも他のパーティーメンバーと同じように俺を諦めきれなかったという意志を見せた。
"えっ、何か言ったんですか、オリィさん?"
"...特に"
幸いなことに、他の要素には聞こえなかったようだ。
「ヨンソクたち!?オリ様を困らせるようなことをしたのか!?
子供たちがもっと意地悪な質問でもして欲しかったのに、それを制止するために現れた老齢のエレメント。 もうそろそろ誰かが止めに来ないかと思っていたのだが、いざ止めに来ると、困惑するオリィを見るのもここまでだったのが内心残念だった。
「ようこそ勇者様。魔王を倒していただき、本当にありがとうございました。
"魔王を倒したという知らせは、どうやってここまで届いたのですか?"
魔王を捕まえてから今日で三日か四日目。
ニュースを伝える手段が徒歩での伝言が大半を占める場所なので、王宮内の人物以外には知ることができない内容だ。
万能の魔法道具も万能ではないので、こんなに早く伝わったとは想像し難い。
「デラ様が教えてくれました。
"ああ、そうなんですね。"
噂よりも早い情報源があるのですね。
行列式もまだなので、むしろ首都の人々は魔王の消滅を知らないかもしれない。
魔王軍と対峙するのに苦労している者も含めて。
「それでは、ここまで来られたのですから、お休みになるように私がご案内させていただきます。
"うん。"
"...わかりました。"
表面上は若いおじいちゃんに見えるエレメントに、外見上は孫娘に等しいはずのオリーが半べそをかき、少し気まずい気分。年長者ほど敬意を払うという儒教的な教育を受けて育ったせいか、階級社会とは相性が悪かった。
幼稚なガキが貴族自制心と称して粋がるのを諌めるどころか、むしろ年老いた村長がガキの行動一つ一つに怯えながらひれ伏すのを見てきたからだ。
貴族に等しい、それも高い身分のオリには当然のことなのだろうが、現代社会で大人を敬えと教えられてきた私にとっては、眉をひそめずにはいられない光景である。
それを恥ずかしがらないように気をつけたとはいえ。
いくら私が住んでいた場所でも、こういうことが全くないとは言えない。
私が一般人出身だからこうなるのであって、財閥家の日常はおそらく一般人には想像もつかないようなドラマのようなことが繰り広げられているのだろう。
たぶん。
"勇者?"
"え?"
"本当に。大丈夫か?
うーん、隠して隠していたのが表情に出たようだ。
「あー、大丈夫だよ、ただ。魔王を捕まえたら、つい考え事が多くなっちゃったんだ。
「そうか、わかった。
もう2回もオリに心配されてしまった。別に嫌っているわけではないが、必要なことだけ剣のように事務的に接していた職場の同僚が、いきなりプライベートな話を持ち出すと誰だって不思議に思うだろう。
やはり、呪いの影響だろう?
エレメントの神に会ったら、まずはヘイジから聞いてみようかな。
パーティーメンバー全員を頼むのは難しくても、少なくとも自分に仕えるエレメント族のオリなら、種族の神である自分が応えてくれるはずだ。
メインクエストが光の神を目覚めさせ地球に帰ることなら、サブクエストであるパーティメンバーの刻印の呪いヘイジュがここで一つ処理されるのだろうと予感しながら、改めて周囲の風景を見渡す。
本当に美しい。あんな家は一体どうやって作るんだろう? また、自然の構造を壊さない範囲であんな建物を建てることができるんだ。
「ひゃあー。かっこいいね。
オリーの態度を気にし続けるのは自分だけ損なので、改めて景色を眺めながら感嘆の声を出す。近くで仲良く集まったエレメンツ族の生活を見ると、種族が違うのに人間味が感じられて微笑ましくなり、自然の種族と呼ばれるエレメンツが作った空間を見渡すと、これがまた景観で、どうしてあんな風に美観を損なうことなく調和しているのか驚くばかりだ。
"ここだけ見てもこれなのに、中はどんなにすごいんだろう。"
もしかしたら、オリーが私を心配しているのも、無言で歩いているからなのかもしれない。 それに純粋に感心して口に出す話。神託で私を連れてくるのはいいが、何の説明もなく黙って歩くのには限界がある。
"...うん。"
せめてオリには馴染みのある場所なので、どうだろうとそっと口火を切ったのだが、オリはただただ恥ずかしそうに口を閉ざした。
普通はこうやって話しかけると、質問者にどうなのか説明してくれるとか、どのくらいかかるのかとか、下世話な話があるはずなのに、これほどまでに悲惨なコミュニケーション。
...さっきの積極的な態度は別に呪いの影響じゃないのか?
もしかして呪いの影響でオリーが変わってくれるのだろうかと思ったが、これではいつものように俺が会話をリードしていくしかない。
"私たち、今どこに行くの?"
"我が家にお連れしますよ、勇者様。"
「そうなんだね、オリィ、じゃあ、いつ頃、デラ様には行けるの?
"準備まで四日かかる。"
"...じゃあ、どうしてそんなに急げって言ったの?
"女王が頼みたいことがあるって。"
"女王?"
"ああ。"
...女王の頼み事か。
神もあり、神に仕える巫女という職業が実在するのだが、その対極にある支配層が存在するためには、どのような体制に戻るのだろうかと気になった。一つの国に王政と宗教が混在するためには、どちらかが強くないといけないし、そうでなければいつか対立することになる。
そもそも神が統治しているのだから関係ないのか?
偏狭だなあ。
俺が人間的な視点で推論しすぎたようだ。
"何の頼みかわからないだろ?"
"そうだ。"
「うーん。
いったい何を知ってるんだ。
聞いているこっちがイライラするような話し方に、心の中でつぶやいた。
「じゃあ、どれどれ、デラ様と会うには四日かかるし、今はまず女王に頼みたいことがあるから、そこへ行くんだね?
"そうだ。"
「オリィ様。勇者様。女王様は、皆様をお迎えするために準備をしていますので、時が来たら呼んでくださるので、我が家に泊まるようにと命じておられますよ。
"...そうなんですね。
私の質問にそう答えたオリィの言葉を訂正するウソップ族のおじいちゃん。 今更どう呼べばいいのか聞いても仕方ないので、謙虚に言葉を濁した。
「それにしてもすごいですね、お二人とも。魔王城からここまでの距離は相当なものですが、疲れはないですか?"
そんな気配を感じたのか、ウソップ族のおじいちゃんが私たちの体調を尋ねた。
"私は大丈夫です。"
"俺もだ。"
この世界では出会う相手ごとに敬語を交わしてきたので、いくら仲間とはいえ反語を吐くオリに少し距離感があった。
たとえこの世界では当たり前のことだとしても。
正直そんなもんだ。
ローマではローマの法律に従うとはいえ、だからといってベッドに靴を履いて上がらない。
「そうなんですね。 シェーンネは最近、足が不自由で、村を散歩するのが精一杯なんです。 それでもこの村がこれだけ平和なのは、私たちを見守るデラ様の恵みと女王様の統率、そして魔王を阻止するために尽力してくれた全ての方々のおかげです。 この場をお借りして、改めてお礼を申し上げます。 ありがとうございます、オリ様。ありがとうございました、勇者様。
普通に歩いていると、ふと振り返って挨拶をする。
「ハハハ、そう思っていただけて良かったですね。 私こそ、こうして無事に過ごせて良かったと思いますよ」。
こんなお礼を言われるのもまだ照れくさくて気まずいのだが、事実なので遠慮はしなかった。
ここではむしろ大したことないと謙遜していたのに、それこそ失礼だと思い、自重した。
よくファンタジー小説のエルフのように、ここでもエレメンタル族は傲慢な種族だと聞いていたが、この謙虚さを見ると誤解だったのかと思うほどだ。私が勇者であることを知らずに出会ったエレメンタル族を思い出すと、ほとんどが傲慢ではあったが、それ以上の無礼には至らず、エレメンタル族が傲慢と言われるような言い方をする事情があるのではないかと思った。
例えば、失礼なことを言っても頭が割れないから、野蛮人より無礼だと言われるのだろうか。
これまで出会ったユリア族は、いきなり喧嘩を売ったりはしなかった。
むしろ無知な人間に迷惑をかけた割合が圧倒的に多かったからだ。
命の価値が低く設定されているこの場所で、会話による解決はおろか、喧嘩に発展したのなら、どちらかが野蛮な認識の真教育を受けたはずだ。
そしてやられたほうは、冤罪だと言いながらクジラの被害者コスプレをしてるんだろう。 自分が先に喧嘩を売ったことの非はさておき。
それぞれの事情は人の数だけあるので、私があれこれ言うことはできないが、これまでの経験を偏見で判断すると、概ねウラジオストク族の味方をしてあげたい。
ここでも人間に何度も裏を返されたが、少なくともウソップ族にはそんなことはなかった。
俺がオリを黙ってついてきたのも、そういうところがあったからだ。
...どうした?
"村長! 大変なことになりました!"
さっきから急いで走ってくる気配を意識していると、ほどなくして一人のウソップ族が近づいてきた。
村長さんか、何だかんだで。
名目は巫女だが、村単位で一番偉い人が案内してくれるのではという推論が的中し、内心ほくそ笑んだ。
"どうしたの?"
「北東からチュウジャラの大群が押し寄せているそうです。
「どのくらいかかるそうだが、その数は?
"今警備隊が遅れているのでよくわかりませんが、頭数は百を超えるそうです。"
「なんてこった!百匹も?
チュウジャラの数が百人なら、村ではなく都市でも打撃を受けるだろう。
「はっはっは! それじゃあ、警備隊は長くは持たないわね。 周囲の村にこの知らせを伝え、女王様に兵力を送ってほしいと伝えなさい!」。
"はい!"
急きょ知らせを伝えた妖素族の男性が、村長の命令を伝えに出発した。
村に着くとすぐに守備イベントか。魔王を捕まえたとはいえ、楽にはいかないものね。
私は当然手伝うつもりで準備した。
"勇者。"
"ん?"
"休むんだ。"
"わかった、うん?"
せっかく手伝おうと体を温めようとすると、オリーが元気な声をかけてくる。
この小説は宣伝目的で書かれたものです。
この文章はdeeplが翻訳しました。