[ファンタジー] 魔王を倒そう、パーティーメンバーが執着する - 012_巫女の神託

***

"...オリ？"


奇妙な違和感に思わず目を開けると、すぐそこに見えたのは、去ると言って一日経ったばかりのパーティーの隠れ蓑だった。 後で気づくその手際の良さは、どこからともなく、窓際に入ったであろう気配を察知し、誰であるかを視覚的に確認してからようやく安心できた。


 ミーレに監視しすぎだと子供たちの前で叱られたのに、本当に敵が暗躍していたら大変なことになるところだった。


"びっくりした、どうしたの？"


実は近づいてくるのを知っていたかのようなふりをしながら。


"行こう。"


しかし、相手がオリィだからか、受け入れてもらえず、断固として答える。


「どこへ。

「託宣を受けた。勇者を連れて来いと。

"...え？


いつも感じることだが、会話が短く、何を求めているのかを知るには単刀直入に聞かなければならないので、会話が苦手なタイプだ。


"わからない。"

"...そうなの？"


しかも、本人が知らないと、口が裂けても言わない。


"他の子は？ 急な用事なの？ 今からでも呼ぼうか？"

"いや。勇者だけ来い。

「うーん。じゃあ、手紙だけ残しておくから、ちょっと待っていてくれる？

"わかった。"


勇者になってから、超越的な身体能力を持つようになったので、何日待っても問題なかった。むしろ退屈でつまらないくらい。この変貌した体のおかげで、地球に戻ったら夜明けのドライブとか、あちこち撃ちまわってしまいそうな気がする。

なんなら歩いてでも撃ちまくるだろうけど。


 夜食紀行もいいな。


一瞬の思案を終え、オリに答えた通りに手紙を書こうとテーブルに座った。


"どれくらいかかるの？"

"わからない。"


 そうだろう。


その簡潔な答えに不機嫌になり、内心で嘲笑った。


「オリ。君が住んでいたところへ帰る途中だったんだろ？

"そうだ。"

"それで、神託が来て迎えに来たんだろ？"

"そうだ。"

"理由もわからず、時間もわからず"。

"そうだ。"

"...そう。"


あまりに言葉足らずで、本当に神託を受ける巫女なのか疑問に思ったことは一度や二度ではない。私達といる時は斥候の腕前を発揮してくれたので問題なかったが、果たして巫女という身分で種族を上手く引っ張っていけるのか心配だった。


パ-アン


"...オリィ？"

"どうして？"

"そんなに睨みつけるのもどうかと思うけど。"


自分の気持ちよりも信託のために動いていたオリが、ほとんど手紙を覗き込むように近づいてきたので。


"...そうか。"


実際は私の顔をじっと見つめて窓際に出たのですが、何だか不気味な気配。


 これも呪いの影響か？


欲望を噴出させる呪いだそうだ。

残念ながら辞書を持っていないので、単純に感情的に行動するようになる呪いだと思っているのだが、それにしては欲望という言葉が与える感じはあまりピンと来ないので、本当に何なんだろうと思った。

そもそもあまりに微弱な呪いなので、本当に人を極限まで追い込まない限り、かかっているのかどうかわからない呪いだという。


 ミレーは、風邪に例えるといいと言った。


引っかかると厄介で痛いけど、耐えられないほどではないらしい。

でも、このようなファンタジー中世の世界では薬や治療のインフラが整っていないので、ただの風邪でも危険なのかもしれないと思った。そこで、ミオチやアミゼルに聞いてみたのですが、そもそもミオチは王族で勇者の血筋だし、アミゼルは自分が聖女なので、病気とか呪いとかにはかかりにくい。

そんなわけで、平民に聞いたら、風邪をひいたら一人で生きるか、全員死ぬかのどちらかを選べと言われたのだそうです。

せめて呪いは伝染性がないので、一人で死ねばいいと言われ、思わず虚しく笑ってしまった。


 お姫様と巫女と聖女に些細な病気なんて、どうでもいいだろ？


これが高貴な身分からくる認識の違いだった。


"行きましょう。"

"うん......!"


荷物はいつでも飛び出せるようにまとめておいたので、身なりを整え、カバンだけを背負うと、いつもより半音ほど高くなった声が聞こえた。



****

「パーティーメンバーへ

夜明けにオリーが訪ねてきて、突然の神託を受けたから俺を連れて来いって。
理由もわからないし、どれくらいかかるかもわからないから、とりあえず会議で話した通りに動いてくれ。
もし何かあったら、ミーレがくれた緊急巻物を破るから心配しないでね。

勇者が」。


皆が目を覚ましてからしばらくして、眠気の多い人もそろそろ起きる時間。勇者が咳をするため、訪問の前で待機していた侍女が勇者を呼んだにも関わらず連絡がなく、部屋の中を確認するといなかったので、姫に知らせを伝える。

王女が先にメモを読みながら賢者と聖女を招集。

王女は自分が見たメモを急いで探しに来た二人に渡しながら、落ち着いて待っていた。


"おとなしい猫が先に釜の蓋の棚に登るって言ってたわね。"


自分自身も巫女のような手口を使ったとはいえ、せめて一人で先取りするのではなく、皆で繋がろうという提案までしていた。

ましてや、自分たちだけで集まって企んでいた事実を、勇者に故意にこっそり漏らしてしまうという策略も。

知らないままやられたら悔しいと恨みが残るかもしれないが、知らせてやればプライドのために鉄壁のような心が少しは緩むかもしれないという考えから仕掛けたのだ。

自分で言うのもなんだが、こんな魅力的な女性に求婚されても、平然としている姿に一般的な方法では通用しないので、こんな策略を練らざるを得なかったのだ。


 しかし、本命の申し出を断ったばかりか、夜中にこっそり彼を口説く？


今まで共に歩んできた仲間でなかったら、今すぐにでも訪ねてきて、いっそのこと殺してくれと懇願させただろう。


"それはどういうことですか？"

"王女は魔法を学ぶ時、環境や設備が整っているから分からないが、森の中で魔法使いがポーションを作る時、大抵の場合、ポーションを作る時は主に釜で作る。 そのため、周りはいつもお湯を沸かして熱くなるのだ。"

「なるほど、狩猟目的で飼う犬と違って、猫は心身の安らぎのために飼うんですね。 その可愛らしい外見とは裏腹に、飼い主がよくしてくれても、自分の好き勝手なことをしてしまうので、飼いにくいんです。 だから時々、飼い主を無視しているんじゃないかと思うこともしばしばあるんですよ。

「巫女さんの性格上、私たちを無視しているわけではないと認識していますが、私たちの知らないところで彼を連れて行ったのですから......正直、やられたとしか言いようがありませんね。

「そうですね、その通りです。 魔王も倒したし、勇者様もまだ帰還されていない時に、私たち同士で協力しようという場を設けたのに、それを無視して、こうして義理を破るなんて。 もしオリィちゃんが勇者様を...とにかくそうなったら、私たちもオリィちゃんをもう友達とは思えませんよ...！」。


賢者と王女が意見交換している間、聖女はただ様子見をしながら、友達でなくなるまではいかないのではと思った。

とはいえ、一言も言わずに勇者をこっそり連れ去った斥候の態度は好感が持てなかったが。

せめて神託が降りてきたからそうなったのだと思うと不愉快ではあったが、同じ信仰者という共通点に理解しようとした。


「賢者。勇者様を、オリィを追うのは、任せて大丈夫でしょうか？"


聖女が一人で思索に耽っている間に、自分たちだけで会話を続ける。


"ほう、姫が本女に？"


賢者は、魔王城に入るまで勇者をめぐって互いに牽制し合っていたとは思えないほど、最近の姫の振る舞いが親しみやすく、少し戸惑った。

とはいえ、自分が先に協力しようと手を差し伸べると素直に受け入れてくれたし、お互いに十分な信頼関係を示してくれたので、多少は審査が進んでいた。

むしろ今のように牽制せず、同盟を結んでいたらどうだっただろうという雑念も浮かんできた。


"本当は私が行きたい気持ちは強いのですが、大陸を脅かす魔王を退治した今。職務を先延ばしにするのも難しいんです。

「そう思えば、本殿の肩に荷物を背負わずにすむのは、実に気楽である。

「...そんなことで慰める必要はありませんよ。

「わかりました、姫の熱意はわかったから、彼を探しに行くのは本女に任せなさい。

「ありがとうございます、では賢者を信じます。

「私の、使役馬を残して行くから、何かあったら連絡するよ。


こうして、姫と賢者の協力体制はさらに固まった。ただ、隣で見ていた聖女は会話に参加できず、気まずい様子。


「私、イロナ様！ 私も...一緒に行ってもいいですか？


確かに聖女も協力する立場ではあったが、これまで助力する姿はおろか、二人を置いて勇者に甘えてばかりで、実は姫や賢者の視線は 곱지 않았다。

肝心の本人がそれを自覚しているかどうかはわからない。


"いいのだ。 しかし、聖女は大陸に光を灯すために忙しくしているのではないのか？ それに、彼もそうするようにと書いているのではないのか？"


たとえ神と万人に愛されたとしても、このままではきっと姫と賢者の目に留まるだろう。


"ああ、確かにそうだが...."


聖女は禁欲的な生活を送っていたが、大陸の平和のために世に出たばかりなので、未熟だという言い訳はできる。 しかし、ここまで見識がなく、たとえ本人が意図していなかったとしても、次々と自分の利益ばかりを追求するようでは、今後二人の助けを得るのは難しいだろう。


「でも、勇者様が神託を受けたということですし......私もデラ様にご意見をお聞きしたいんです。 ピルオラ様がいつ頃目覚めるのか、確認したいとも思っています。


幸い、聖女はこの自分の危機感を敏感に察知していた。


"...聖女のお考えなら、止めないわ。"


内心は一人で行こうと思っていた賢者だったが、聖女の振る舞いはまだ末っ子の幼稚さ程度に過ぎないので、渋い気持ちを飲み込んで許可した。


"ありがとうございます、イロナ様。"

「何だ。こんなもので。私たちは大陸を救うために、生死を共にし、共に歩んだ仲間ではないか。

「あ、そうなんですね、へへへ。

「うふふふふふ、ですからね。

「きゃーきゃー、そうでござるよ。


無邪気な聖女のうなずきに、姫と賢者はそれぞれ自分の考えを隠そうと心にもない笑みを浮かべた。

今は勇者にとって一番必要な存在だから、これまでの不誠実な振る舞いを見守るが、恩も仇もなく自分だけが勇者に媚びを売るようなら...その時は違う扱いをしようと思いながら。



***(笑)

遅ればせながらミーレがいればテレポートですぐに移動できるのではと思ったが、オリーが猛スピードで追いかけてくるので、通常の思考が鈍ってしまった。


 オリーが速いのは速い。


お互い全力疾走はしていないが、オリーの最大速度は大体見当がつく。

そんな私たちのパーティーを例えるなら、一騎当千の特殊部隊で、大陸屈指の強者であり、軍界一流で構成されたパーティーである。このような場にいきなり勇者として召喚されたのは最初は理解しにくかったが、世界の干渉、神々の事情、難しい言葉でそれなりの理由があるのだと、十分に私を納得させた。

どうせ俺は魔王を捕まえるための火消しとして召喚されたに過ぎないのだから。

なんの使命もなく、報酬を貰って地球に帰ればいいだけの状況。そこで私がいつも持ち歩いているのは、ネックレス型の丈夫なポケットだった。

完全に電源を切ったスマートフォンと、地球に戻ったら両替する宝石と金貨がいくつも入っている。

体にぴったりと密着した上着を着ていて、窮屈ではないものの、慣れたせいか、一度意識すると少し不快な気がして、つい胸元を触ってしまった。


 よくあることだ。


どうやらこれが私の全財産であり、地球人であることの証なのだから、愛着が湧くのも当然だった。


ヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッヒュッ


通り過ぎる景色を眺めながら走るオリィ。 そうは言っても、地面が不均一で藪が生い茂っているのでスピードは落ちたが、高い木の枝を踏んで進むので、可能な限りオリィが踏んだ場所だけついていくので、まだ遅くはない。


シュッ

パアアッ!


おおよそ時速20kmの速度で進み、途中途中で音を立てている私と比べれば、あんなに速いのにダンディーだった。

これも私を意識してゆっくり行くんだろうけど。


 体重のせいだろうか、だって俺はカバンも背負っているんだから。


パーティーの最年少はアミゼルだけど、オリーの方が軽そうだった。

こんな雑念を口に出したら、いくら俺に好意的な彼女たちでも怒るだろう。

言っていいことと言ってはいけないことを見極めながら、万が一口に出してしまわないように気をつけた。


堂々と

ひるむ


"どうしたの？"

"勇者、お昼は...？"


夜明けから王国を抜け出して走っていたのに、急に止まったので尋ねる。


"私は大丈夫だけど、オリィは？"

"大丈夫だよ。"

「私のせいなら大丈夫だから、このまま行ってもいいよ。

"じゃあ...."


それでも私のことを考えて聞いていることに気づき、断りながら足早に進む。 どうせ私もオリィもこれほど大変ではないし、まだまだ先は遠そうなので急いだ。


「あ、そういえば、あとどれくらいかかるの？


せっかくなので、立ち止まったところで時間を尋ねた。


"...一日。"

"二十四時間？"


うなずく


 その間、走るだけじゃつまらなさそうだ。


今からでも王国に戻って、ミーレにできるだけ近くにテレポートしてもらおうか悩んでいた。


「ミーレにテレポートしてもらえないの？

"...賢者は魔族。"

"あ、そうだ。"


魔王が大陸に侵攻して被害を与えたのは人間だけでなく、妖素族もかなりの被害を受けた。

ミーレは魔王と肩を並べて大陸の味方をしたとはいえ、魔族に被害を受けた人間に、ミーレが味方だと説明しても聞いてもらえないだろう。

聞いたとしても、心は受け入れられないだろう。


"近くまでテレポートで移動してもらい、ミーレだけ待機させて、私たちだけで行けばいいんじゃないの？"


ミーレには申し訳ないけれど、助けを借りて待たせるのはどうかと思って聞いてみた。


"デラ様が拒否されました。"


 そういえば、保護のためにエレファント族の国周辺に魔法防止の結界を張ったと言ったっけ？ そもそも神が打った結界のせいで魔王が直接来ることができなかったというから。


「なら仕方がないな。


心の中で抱いていた疑問が解消されると、肩をすくめ、納得した。

 

 

 

 

 

この小説は宣伝目的で書かれたものです。
この文章はdeeplが翻訳しました。